今、「黒塗りメイク議論」が起きて起きてよかった。
「笑ってはいけない」、なにかと話題になっていますね。
私はずーっと紅白を見ていた人なので知りませんでしたが、よく話題に上がっているところだと、「黒人のコスプレ」と「暴力」、この二つで笑いを取ったところ。
「人権後進国であることを露呈している」と言う人がいたり、「日本に差別の文化はないし暴力って言ってもネタでしょ」と言う人がいたり、様々な意見を見ました。
個人的には、他人を馬鹿にしたり価値を貶めて笑いにすることや、嫌がるものを無理強いして拒否する姿を笑いにすることは大嫌いです。笑えないどころか拒否感を感じます。
前者は、容姿いじりとか特定の人と何かをすることを罰ゲーム化する、とか。後者は暴力、望んでいない企画への参加とかですね。
それで楽しめる人たちがいるからこそ、いまだそういうコンテンツが提供されているのだと思います。
日本では。
でも、人権がもっと尊重されている国から来た人が日本に来てそういうコンテンツを見たら、不愉快に思うのは確実です。
すでに著名人が来日しバラエティ番組か何かに出た際に、「なんでその方に対して、そんな扱いをするの? それ、面白いの?」と疑問を呈していたのを記憶しています。去年ぐらいに。
まもなくオリンピックで、海外の人がたくさん来た時に、人権に配慮する国から来た人にとって地上波でのこういった扱いは不快感を煽るものでしょう。
人によっては、「なんでも欧米文化に合わせればいいというものではない」という人もいるかと思います。
でも、人を傷つけること・人が嫌がることをすることは悪いことだというのは誰もが知っているところだと思います。
ただ、どういうことが人を傷つけ人が嫌がるか、知らなかったり無自覚だったりすることが多いのが日本社会で、こういった行為を日本よりもしっかり認識しているのが欧米社会だと思います。
「#Me Too」でも話題になりましたが、欧米ではセクハラは人権侵害であり「やったほうが悪い」「セクハラ傍観者も加害者の一員」という風潮ですが、日本ではそもそも「え? これセクハラ?」と無自覚だったり、「被害者も落ち度があったでしょ」とセクハラに限らない被害者責任論がいまだ根強いです。
「人が嫌がることをした方が悪い」という認識は、ここの事例に当てはまって当然なのに、それを知らない(あるいは自分が無自覚であっても加害者だったことが受け入れがたい)から、日本ではセクハラも被害者責任論も大手を振って存在するのだと思います。
なんでも他国に合わせる必要はありません。
ただ、今回の件は、「人を尊重する」という観点で、もっと海外からの指摘や考え方を踏まえて自分たちの考え方を見直してみるきっかけにした方がいいよなぁと感じています。
そういう意味では、今議論になってよかったと思います。まだ二年あります。
去年の紅白は、総合司会内村さんの「人を傷つけない笑い」が好評だったそうです。私も安心してみられました。
大みそかに、対照的な形で「笑い」が作られていたように思えます。
「笑い」について、人権について、今回の件でいろんな意見がいろいろな人の目に触れて、考えるきっかけになるといいなぁと思います。